メタボと中性脂肪値の関係

メタボと中性脂肪値が深くかかわる4つの理由

 

中性脂肪値が高ければ「メタボ」?

 

 

太っている人を「あいつはメタボだ」と言うのは、言っている人の常識がちょっと疑われる悪口ですね。

 

もちろん、メタボつまりメタボリックシンドロームは、単なるお腹ポッチャリの人のことではありません。

 

メタボリックというのは「代謝の」という意味で、太っているだけでなく身体のさまざまな代謝機能に異常をきたしているのがメタボリックシンドロームです。

 

メタボは、血液中の中性脂肪値や血糖値、血圧などが関係している複合的な症状ですが、とくに中性脂肪値が深くかかわっています。

 

そこで今回は、このようなメタボの正しい意味と中性脂肪との関係について解説します。

 

メタボリックシンドロームという病名の由来

 

1988年にアメリカのある学者が発表した論分に「シンドロームX」という言葉が使われたのが、メタボリックシンドロームという言葉が生まれるきっかけでした。

 

映画のタイトルになりそうな(?) 名前ですが、その論文には、「高血圧」、「高血糖」、「脂質異常」の3つの生活習慣病が重なることで心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなるということが述べられていました。

 

これは、いまでは常識と言っていいことかもしれません。

 

その翌年には、やはりアメリカの別の学者がこの3つに「肥満」を加えて「死の四重奏」と名付けました。

 

このセンセーショナルなネーミングが話題になり、肥満と代謝(メタボ)の関係の研究が盛んになって、1998年にWHO(世界保健機関)が「メタボリックシンドローム」(代謝異常症候群)と名付けて、その診断基準を発表しました。

 

この背景には、アメリカの肥満男性に心臓病が多く、それによって寿命を縮めているという社会問題がありました。

 

メタボリックシンドロームの診断基準

 

メタボと判断されるには中性脂肪値を含む診断基準があります。

 

 

現在(2017年7月現在)のメタボの診断基準は次の通りです。

 

  • 腹囲(お腹まわりのサイズ)  男性85cm以上、女性90cm以上
  • 中性脂肪値         150mg/dl以上
  • HDL(善玉コレステロール) 男性40mg/dl未満、女性50mg/dl未満
  • 血圧           上が130mmHg以上、または下が85mmHg以上
  • 空腹時の血糖値       110mg/dl以上

メタボと診断されるのは、腹囲に加えて、その他の内【2つ】以上が当てはまる場合です。

 

お腹ポッチャリはメタボの必須条件ですが、それだけではメタボとは言いません。

 

厚生労働省は「特定健診」として、年に1回の上記の項目の健康診断に6,520円の費用補助をしています。これがいわゆるメタボ診断で、40〜74歳の人が対象です。

 

健康保険の財政がきびしい中で国がメタボ診断に補助を出すのは、もちろん、メタボから心臓病などを発症する人が増えると治療費が高額になり、もっと保険財政が圧迫されるからです。

 

メタボリックシンドロームの患者数

 

メタボの人は年々その数は増えています。

 

最初に触れたように、メタボが注目されたのはアメリカの肥満男性に脳梗塞や心筋梗塞を発症する人が多いからですが、日本でも食生活の欧米化とともにメタボリックシンドロームの人は増えています。

 

厚生労働省のホームページによると、平成18年の「国民健康・栄養調査」の結果では、「40〜74歳では男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームが強く疑われる者または予備軍と考えられる」とされています。

 

具体的な数では、メタボに該当する人が約960万人、予備軍が約980万人で、合計約1,940万人と推定されています。

 

メタボと中性脂肪は特に深い関係がある

にメタボはさまざまな要因が重なって起きる「症候群」ですが、とくに中性脂肪とは深い関係があります。

 

内臓脂肪との関係

おへその周りで計る「腹囲」が基準以上でないとメタボとは診断されませんが、内臓脂肪は中性脂肪そのものです。

 

コレステロールとの関係

血液の中性脂肪値が高いと、悪玉コレステロール(LDL)が増えて、善玉コレステロール(HDL)が減るという相関関係があります。

 

血糖値との関係

血糖値にも中性脂肪は関係しています。糖分を代謝するホルモンのインスリンは中性脂肪が多いと(肥満していると)効き目がわるくなるという性質があります。

 

これをインスリン抵抗性といいますが、中性脂肪が多いとインスリン抵抗性が高まって血糖値を高くする傾向があるのです。

 

血圧との関係

血圧と中性脂肪にも関係があります。中性脂肪値の高い血液はいわゆる「どろどろの血液」で、毛細血管での血流がわるくなります。

 

流れのわるい血液を循環させようとすると、心臓や血管に負担がかかり、血圧が高くなります。

 

このように、中性脂肪を下げることで、メタボの診断基準のすべてを改善することが期待できるのです。

メタボリックシンドロームの健康への影響

 

メタボが心筋梗塞や脳梗塞などの命にかかわる病気(心血管系イベント)を起こしやすいのは、メタボになると動脈硬化が早く進行するからです。

 

 

動脈硬化というとまず高コレステロールを思い浮かべる人も多いでしょうか、それだけでなく、高い中性脂肪値、高血糖、高血圧も動脈硬化を進行させます。

 

これに「肥満」という要素が加わるのは、肥満によって脂肪や血糖の代謝が悪くなるからです。

 

つまり、肥満は脂質異常や高血糖という生活習慣病を悪化させるのです。

 

肥満による代謝異常の代表的な例は、先ほど述べた「インスリン抵抗性」を高くすることです。

 

インスリンは血液中のブドウ糖をエネルギーに変えるときに必要なホルモンですが、肥満するとこのホルモンの効き目がわるくなって、血糖値が下がりにくくなります。

 

メタボになると動脈硬化の進行速度が【36倍】になる?

2年ほど前まで、厚生労働省のホームページには、メタボリックシンドロームになると動脈硬化の進行速度が健康な人の約36倍になると書かれていました。

 

現在は探してもその記述は見当たらないので、過剰な数字だったのかもしれません。

 

しかし、メタボが動脈硬化を早く進行させることに間違いはありません。

 

肥満、高血圧、高血糖、脂質異常というリスク要因が多いほど、動脈硬化の進行は早くなります。

 

メタボを改善するには?

 

メタボリックシンドロームと診断される必須条件は「腹囲(お腹まわりのサイズ) が、男性85cmは以上、女性は90cm以上」です。

 

 

つまり、お腹ぽっちゃりが解消すればとりあえずメタボとは診断されなくなります。

 

当然、これにもっとも関係しているのが中性脂肪値です。

 

血液中の中性脂肪値を下げて内臓脂肪を減らせば、メタボではなくなります。

 

また、それによってコレステロール値や血糖値、血圧も改善するので、メタボの4条件すべてが改善することにつながります。

 

メタボリックシンドロームの改善には、次のような注意や生活習慣が有効です。

 

  • カロリーコントロール―脂こいものをひかえるだけでなく、糖分や炭水化物をの摂取もひかえることがたいせつです。
  • 食べる順番に気をつける―野菜など食物繊維を含むものを先に食べると、脂肪の吸収がおさえられます。
  • 運動でカロリーを消費する―有酸素運動を継続すると脂肪の燃焼が促進されます。
  • ストレスをためない―ストレスは脂肪の代謝を阻害するホルモンの分泌を増やします。
  • 睡眠不足にならない―睡眠不足は成長ホルモンの分泌を阻害して、太りやすくなります。

参考:中性脂肪を下げる食生活

 

 

まとめ

 

メタボと中性脂肪値の関係について解説しましたが、いかがでしょうか?

 

メタボリックシンドロームは、単に肥満に関係する症状ではなく、代謝異常に関する症状です。

 

内臓脂肪型の肥満は糖や脂肪の代謝をわるくし、逆に糖や脂肪の代謝異常が内臓脂肪を蓄積させるという「鶏と卵」の関係にあります。

 

特に、中性脂肪値が高いと、さまざまな代謝に悪影響を及ぼしてメタボを進行させることになります。

 

中性脂肪値は一般的には食生活や運動などの生活習慣で改善するので、とりあえず次の健康診断を目標にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

関連ページ

中性脂肪と脂肪の違い
中性脂肪と脂肪の違いについて説明します。
生活習慣病への対処
中性脂肪を下げることについて知るにあたって、生活習慣病への対処について考えていかないといけません。
中性脂肪と体型の関係
中性脂肪と体型の関係について説明します。
脂質異常症を改善する為に中性脂肪とコレステロールの関係を知ろう!
脂質異常症は「動脈硬化」の多な原因として良く知られています。「動脈硬化」が進むと脳梗塞や心筋梗塞の原因となってしまいます。今回は、この「脂質異常症」の原因となる血中の「中性脂肪」と「コレステロール」の関係について解説します。
コツコツ取り組むことの重要性
コツコツ取り組むことの重要性いついて説明します。
中性脂肪値が高いリスク!脂質異常症は危険!
中性脂肪値が高くてもどこかが痛くなるわけでもなく、ほとんど自覚症状がないのも私たちがリスクを甘く見がちな理由です。今回は「ほんとうは怖い」高すぎる中性脂肪のリスクについて解説します。
女性が更年期から中性脂肪が高くなる原因は女性ホルモン(エストロゲン)の減少が要因
女性が更年期になると中性脂肪やコレステロールが増える原因は、女性ホルモン(エストロゲン)に関係しています。今回は、更年期に中性脂肪値が高くなる原因を女性ホルモン(エストロゲン)との関係を中心に解説します。